2012年 春の訪れ

執拗な寒気の再来もようやく終わったみたい。とうとう春の日射しに恵まれる日々になりました。けれども、いつもながらの暗い観測ですが、消費税引き上げ法案が国会を通過するとともに、民主党と自民党の大いなる接近を通じての「大連立」、それがいやならハシズムの「維新の会」、次の選挙ではそのどちらかの選択を強いられる──そんな時代がやってくる悪い予感がいたします。雑多な右派を寄せ集めた「石原新党」が(できるとして)上のどちらに味方しても、大して影響はないでしょう。民主党も連合系統の組合運動は萎縮してしまっており、共産党、社民党、全労連、全労協も社会的規模の抵抗運動を組織する力量はありません。事実、春闘はいつの間にか消えてしまい、派遣労働者、パートタイマー、ますます深刻化する若者失業者などの生活改善への手助けは、ほんの申しわけ程度ですまされること確実です。

私としてはめずらしく政治情勢にふれましたが、この頃本当に、戦後、ふつうの日本人が伝統的に保持してきた倫理の基礎・価値観のいくつかが、掌から砂のこぼれるように失われてゆくような危機意識を感じています。

手にありし菫の花のいつかなし (たかし)

加齢の制約はあっても松本たかしのような病苦はまぬかれている私は、なくなってゆくものを嘆くばかりでは許されない、とは思うのですが・・・。希望というものがほしいです。

昨年秋、臨時のトップページになっていた四日市9.11脱原発デモ関係のビラや、動画はこちらでご覧いただけます。脱原発のゆくえが心配される今年も、9月9日に第2回デモを企画する予定です、いっそう大規模に。


若者労を中心的なテーマのひとつとする新鮮な雑誌『POSSE』が、5月末刊行予定の15号で「橋下市長の大阪改革」を特集しますが、そこに私の(仮題)「橋下改革対抗論──問われる公務員労組の存在意義」という、問題に深く立ち入った 「インタビュー論文」が掲載されます。ぜひ、お読み下さいますように!」

2010年4月、ホームページを開設して以来、インターネットの世界にささやかながら私なりの発信を続けています。個人編集の雑誌のようなものですが、その内容を紹介します。

  1. (1)これまでの私の労働研究の概要と軌跡
  2. (2)折々のエッセイ──現代の労働、生活、社会のありようにふれて
  3. (3)「読書ノートから」──最近ひもといて印象に残った良書の紹介と批評
  4. (4)「この映画を見て!」──映画ファンの推す最近の作品。ときには批判も
  5. (5)旅のアルバムから─ポートレート集「第三世界に生きる人びと」
  6. (6)その他 新著、最近の仕事、近況など(トップページ掲載)

このうち(2)(3)(4)は、それぞれおよそ2ケ月以内には更新しています。これまでに書かれたエッセイ、書名、映画についてはエッセイタイトル、紹介書籍、映画等一覧をご覧下さい。

これらはもちろん、すでに旧世代に属する「もと大学教員」の発言にすぎませんが、できるだけ多くの方々、とくに若者たちが、つれづれに読んでくださり、ご感想・ご意見をお寄せいただければしあわせです。こちらへ投稿してください。ご質問やご批判にはできるだけお答えするつもりです。

なお、このサイトは初期のゼミ卒業生のひとかたならぬご好意で制作され、管理されています。制作者のプロフィールはこちらへ

最新記事
*2012.4.14「読書ノートから」(その14)」『ナチを欺いた死体』、その他
*2012.4.28「この映画を見て!」(その15)」『オレンジと太陽』、『ヘルプ』、『家族の庭』
*2012.3.16「エッセイ私たちの労働・生活・社会(その15)」関越自動車道の事故をめぐって

近著紹介『働きすぎに斃れて―過労死・過労自殺の語る労働史』岩波書店(2010年)

最新刊の拙著、いわば「渾身の書き下ろし長編!」です。下記には通販サイト/アマゾンの批評ひとつを、過分の評価でいささか気恥ずかしいのですが、執筆者の了解を得て再録します。他の書評はAmazonのこちらのページで。


 この本は、労使関係論の第一人者として知られる熊沢誠氏の渾身の最新作であり、やはり「さすが」と思わせる内容となっている。50人以上の過労死・過労自殺被災者の働き方・働かされ方と遺族のたたかいを、情理をつくして記述していることが本書の最大の特徴である。その裏にあるのは「産業社会の構造的なひずみはかならず個人の受難として現れる」(P.15)という熊沢氏の基本スタンスであり、「個人の受難」の詳細な記述から導かれる「構造的なひずみ」の分析により、日本の労働現場に一般的な問題点が浮かび上がる。過労死・過労自殺は決して他人事ではない。読者の多くが、被災者達の働かされ方の記述の中に「これは私のことだ」と感じるものを発見するだろう。  ちょうど『女工哀史』という85年も前に書かれた本が現在でも重要な資料として参照されるように、本書は20世紀後期から21世紀初頭の日本の労働現場のあり方を記述・分析した最良の書として、100年後に参照されるものではないだろうか(後略)。


旅行アルバムから

このたび、ミャンマーの写真を公開したPICASAウェブアルバムの形式で、「Kumazawa Makoto旅のアルバム抄」というタイトルの欄を設け、とりあえずミャンマーの風景および人物、シリア・ヨルダンの風景および人物、ブルガリア・ルーマニアの風景の5種・各15枚ほどを掲載することにしました。多数のフィルムカメラ映像をふくむ既存ファイル「第三世界の人びと」はもとのままです。新しい形式は、拡大映像のクリアーさ、場所の指示、撮影データの明示などにおいてとてもすぐれています。

ずぶの素人カメラマンの私がこんな欄を設けるのはまことにおこがましいのですが、よろこんで下さる方がいらっしゃることがうれしくて公開させていただきます。しばしの憩いを!こちらへ


折々の情報

*雑誌『POSSE』への連載「われらの時代の働きかた」──「日常の光景から浮び上がる労働世界のありよう(編集者)」を探るという企画。近刊14号に第7回「有期雇用規制の必要性と可能性」を掲載。次号15号では休載、そのかわり、公務員バッシングに関する長時間インタビューが掲載されます。乞御期待!

*昨年秋から5回続きました連続講座『労働組合運動の復権』(労働と人権サポートセンター・大阪および研究会「職場の人権」共催 於:エル大阪)は、3月15日、終了しました。その内容は、(1)会誌『職場の人権』75号(2012年3月刊行予定)/76号(同5月)/77号(同7月)に順次掲載され、(2)年末にはおそらく岩波書店から出版されます。また(3)動画配信も検討中ですが、これには賛否両論があります。