私の労働研究---テーマと問題意識
はじめに 私に与えられたテーマは「現代労働研究の課題と私の問題意識」ですが、後半の「私の問題意識」というところをふくらませ、タイトルを「テーマと問題意識」とさせていただきました。これまでの私の著作は、どういう問題意識で、どういうことを明らかにしようとしてきたか、それはどのような時代の影響を受けていたのかをふりかえってみようということです。研究生活も終わりに近づいた私の一つの総括の試みです。
研究の時期を、著作の刊行年次によっておよそ初期、中期、後期に分けてみました。その研究時期別の時代的な特徴、その時代に影響された私の価値意識――なにに感動したかという意味では「研究の問題意識」、そして書かれた著書のごく簡単な概要とそこでの特徴的なキー概念などを語らせていただきたく存じます。全体として起承転結があるというわけではなく、こうした個人的な回顧にどれほど意義があるのかはわかりませんが、これまで私がそれぞれの著書のなかで「こういうことを書いているのは、こういう問題意識からだったのだ」ということを汲み取っていただければ、うれしいです。
大学院時代、いうならば「徒弟時代」(1961年から66年まで)については、今回は省略させていただきます。20代のころ、60年代半ばぐらいまでの時期です。ちなみに私は「安保世代」に属します。この時期には主として、早くに亡くなられた私の師、岸本英太郎先生の指導で、日本の賃金体系についての共同研究・共著の分担執筆をしていました。東大社研を中心に行われていた日本の年功的労使関係についての調査報告はだいたい全部読みました。特に大きな感銘を受けたのは『労働組合の構造と機能
』(59年)です。こうした本への帰依と一定の距離感など、いま立ち入ればおもしろいかなと思いますが、時間の都合で今日は省略します。
※「私の労働研究---テーマと問題意識」は、2008年2月25日に法政大学大原社会問題研究所で行った講演に加筆・修正した原稿の再録です。
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