

「東野圭吾さん、藤子不二雄(A)さんら作家、漫画家、漫画原作者計122人と大手出版社7社が5日、紙の本を裁断してスキャナーで読み取り、自前で電子書籍化する「自炊」の代行業者約100社に対し、著作権法違反の疑いがあるとする質問状を送付した。....(以下、省略)」(2011年9月6日 読売新聞より引用)。
記事からお判りのように、「自炊」と言っても料理をする意味ではありません。掲示板「2ch」で使われはじめたようで、特に、昨年(=2010年)のアップルiPadの発売後からブームとなり、代行業者による「自炊」すなわち「他炊業者」も出現、著作権保護の観点から無視できない情勢になりつつある事から、上記の質問状の送付になったようです。
「自炊」もしくは「他炊」に関して見聞きした例を挙げてみましょう。
アマゾンマーケットプレイスでは昨年の秋ころより、「自炊」や「他炊」を前提にした断裁スミ書籍の出品者が出現し始めています。(※アマゾンマーケットプレイスでは新刊本とユーズド書籍が相並び販売されています)。当初、アマゾンはこの断裁スミ書籍を「出品不可」としていましたが、今春に規約改正を行い、出品を認める姿勢に変化しました。改訂後の書籍出品のコンディションのガイドラインでは「.....製本状態にない商品もしくは製本されていない商品については、ページ数が不足していなく、文章が問題なく読める状態の商品」と定めています。アメリカ本国で、成功とされている「キンドル(アマゾンの電子ブックリーダー)」の日本発売を見越しての判断かもしれません。
また、顧客の組織化を図り、アマゾンマーケットプレイスでユーズド書籍を代理購入、電子書籍に加工して顧客に提供するサービスを行う「他炊」業者も出現しています。
興味ある方は、"You Tube"でキーワード「自炊」で検索してみてください。加工の際の具体例を多く見ることが出来ます。ノートパソコン、タブレット、電子ブックリーダーなどのメディアの普及により「自炊」や「他炊」が話題になっていますが、下記の二点に興味が有ります。
以前、ネット通販ページに掲載ための香水のパッケージ写真を撮影をしていたことがあります。この時期に、結構な数の無断転載の被害に遭遇しました。
価格を調べるために競合他社のページにアクセス。すると、自分の撮影・加工した写真がそのまま掲載されているのです。とても単純な事ですが、撮影者の知らないところで「無断転載」されているのは実に気分が悪いものです。
自前の書籍の加工を専門業者に委ねるのは現行の著作権法の定めるところに違反なので、需要があるからといってビジネスにするのは如何なものかと思ってしまいます。
音楽や書籍のデータが実に簡単に複製できる時代にあって、もっとも尊重されるべきは作者の権利と思っています。
もう一点は、電子書籍の本格的な普及の萌芽と見るか?でしょう。
ソニーやシャープが電子ブックリーダーを商品化し新市場の開拓に取り組んではているものの、アップルのiPadやスマートフォンに押され気味。シャープは電子ブックリーダー「ガラパゴス」の販売終了を宣言。「電子書籍に特化し低迷...」と毎日新聞(9/16付)と報じました。(※ガラパゴスは現在、タブレット端末としての機能を前面に押し出した販売戦略に変更しています。)日本語のコンテンツがまだまだ貧弱なことが低迷の一因と思います。
一方、アメリカで電子書籍の分野のリーダー的な存在になっているアマゾンは新製品Kindle Fireを11/15に199ドルで発売。このマーケットでの優位性を、一層強固なものにしようとしています。近々には日本向けのKindle Fireも発売するため、
アマゾンと国内大手出版社は電子書籍の発売に向けて交渉中のようですが、契約が成立したのは今のところPHP研究所のみ(らしい)。アマゾン側が販売価格の決定権を掌握したいのが難航の一因のようです。
ま、本好きの端くれからすれば普通に紙の書籍で十分です。